南場智子『不格好経営-チームDeNAの挑戦』を読んでの備忘録と考えたこと
最近よく経営の本でも、IT事業の自叙伝に近いような本をよく読んでいます。
きっかけはこの記事。
下記の本と並行して読んでいました。 https://livalest.com/blog/heartache/
DeNAといえば、今となれば知らない人がいなくなるほど、IT業界また、ビジネス全業界の中でも有名な会社となりました。 元々は、ビッターズ(すごく懐かしい・・・)がきっかけですが、ソーシャルゲーム、今では野球球団を持つまで多種多様な事業に取り組んでおり、そのDeNAの創業社長である(あった)南場智子さんの著書であります。
不格好経営―チームDeNAの挑戦
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Overview
「それにしても、マッキンゼーのコンサルタントとして経営者にアドバイスをしていた自分が、これほどすったもんだの苦労をするとは……。経営とは、こんなにも不格好なものなのか。だけどそのぶん、おもしろい。最高に。」――創業者が初めて明かす、奮闘の舞台裏。
なぜ途中で諦めなかったのか、いかにしてチーム一体となって愚直に邁進してきたか。創業時の失態や資金集めの苦労、成長過程での七転八倒など、ネット界に新風を巻き起こしたDeNAの素顔を同社ファウンダーの南場智子が明らかにする。華やかなネットベンチャー創業の舞台裏で、なにもそこまでフルコースで全部やらかさなくてもと思うような失敗の連続――こんなにも不格好で、崖っぷちの展開があったのかと驚かされる。当時の心境も含めて綴られた文章は軽快で、ビジネス書として示唆に富むだけでなく、読み物としても楽しめる。スピード感あふれる人材育成の現場も垣間見ることができる。
Memo
- 創業当時、リクルーティング活動をして、条件は自分より優秀だということ。『社長失格』という本を読んで心が躍ったら来てくれと伝えた。
- 創業当時、ソネットとリクルートに出資してもらっており、サービス名も出資社の意向にそう必要があった。
(悩んだ末、どちらも優先せず、自分のしたいことを熱く訴えた。) - ビッターズはヤフオクと競合。ヤフオクが値段を上げた時に、かなり盛り返した時があった。とっておきの秘策が、ライバル企業「ヤフオク」への広告出稿だった。
- 南場さん自身が、ビッターズショッピングに出店する店舗を勧誘して回った。(これ、すごいと思う。)
営業体制を強化した。実際には、ノルマを課し、進捗管理をしたが、個々人で争うのではなく、チームの一体感を重視した。(歩合制ではなかった)。不誠実な営業トークがないよう神経を尖らせて、会話をチェックしていた。 -
DeNAクオリティー(Delight、Surface of Sphere、Be the Best I can be、Transparency & Honesty、Speak UP)という、最低限のマインド面の約束事を作った。
Delight(デライト)
顧客のことを第一に考え、感謝の気持ちを持って顧客の期待を超える努力をする。Surface of Sphere(球の表面積)
常に最後の砦として高いプロフェッショナル意識を持ち、DeNAを代表する気概と責任感を持って仕事をする。Be the Best I can be(全力コミット)
2ランクアップの目標で、組織と個人の成長のために全力を尽くす。Transparency & Honesty(透明性)
チームワークとコミュニケーションを大切にし、仲間への責任を果たす。Speak UP(発言責任)
階層にこだわらず、のびのびしっかりと自分の考えを示す。 - DeNAの今日の源泉は「人材の質」。最高の人材を採用し、その人材が育ち、実力のある人材が埋もれず、ステージに乗って輝くことを目指している。
- コンサルティングすることと、実際に事業するのでは雲泥の差がある。
- できる限り賢く見せる必要はない。自分のアホさをさらけ出してでも助けてもらわなければ切り抜けられないことがあまりに多い。
- ロジカルな人間だけでは少しも前に進まない。色々な役者が必要。
- DeNAが逸材を必敗込めている要因は、策の要素を排除し、魂で当たるということ。(全力で口説く、誠実に口説く)
- あちこちのパーティーで集めた人脈は役に立たない。今日、明日のあなたの仕事ぶり、仕事に向かう姿勢こそが人脈を引き寄せる。
- DeNAでは「誰が言ったかではなく、何を言ったか」、「人」ではなく「コト」に意識を集中するようにしている。
Thought
すごーく大前提なんですが、まずは全く違う世界に住んでる人だなっていうのが一番の印象です。
マッキンゼーでコンサル!?
MBA取得!?
ソネットとリクルートの共同出資で起業!?
まあ、笑うぐらい異次元。それでも、参考にさせていただいたところもたくさんありました。
DeNAでさえ泥臭く
IT企業あるあるかもしれませんが、創業当時は、人材が不足しているのが当たり前で、なんでもやらないといけません。それこそ「経営」って何?って状況が普通なのかも。
今ではここまで大きくなったDeNAの社長でさえも先頭を切って、ビッターズの出店先を営業していたであったり、死に物狂いで資金集め、出資先を探していたという話が書かれていた点は勇気が湧きました。
異次元で別世界の話ではありますが、スピリットぐらいは負けずにやりたいですね。モチベーション上がりました。
名刺交換会の不要性
この本では、本当にすごく個人の名前が出てくる本である。そして、それは冒頭でも述べられているが、この著者の「感謝」が込められており、非常にたくさんの人脈をお持ちの方だと推察できます。
その方が、この本の中で、ビジネススクールでの人脈も、パーティーでの名刺交換も否定されていました。 僕自身も、まあこういう部類の集まりは行かない方で。同業種の集まりや勉強会などはちょくちょく参加させていただき、スキルをブラッシュアップできるというメリットがあるのですが、その集まりがきっかけにビジネスに発展したことはないです。
特に僕なんかは、もともと何も人脈なんてないとこから始めっていますが、ビジネス交流会ってのは言ったことないです。 南場さんがおっしゃるように、「仕事に向かう姿勢」が大事で、それが他の仕事に繋がっているということを現状でひしひし感じています。
社長についていきます?
本書の中で、南場さんは「ついていきます!」とい人を全力で断ると書かれています。
なぜかというと、南場さん個人にコミットさせては、政治的な要素になったり、組織的に弱くなるからだということ。
確かに、大きな会社で個人同士で充足的な関係を作られては、会社として成り立たなくなるかもしれませんね。
ただ、この辺りは、僕の状況とは全く違っていて、(そもそも大企業の思考かと)、個人として仕事をしている以上、少しでも多くの人に何かしらの影響を与える、価値を提供できる人になりたいですね。(決して、誰かを従属させるということではなく。)
Summary
DeNAはまさに、快進撃で営業利益を増やし続けていますが、内部的なことが色々と書かれていてさらっと読むことができました。
まさに、完璧たる経営者って感じの人ですが、その周りに頼り切っている、そして相手に、仲間に、頼り切るという強さを感じられる著書でした。
『社長失格』気になります。
不格好経営―チームDeNAの挑戦
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小霜和也著「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」を読んでの備忘録
コロナ禍の中、皆様いかがお過ごしでしょうか?当事業に関していえば、これといって影響がなく、順調にお仕事をさせていただいています。さてさて、今回紹介させていただく本はズバリ「マーケティング」。著者の方は大きな会社相手を顧客として、広告・マーケティングに関わってきた方で、マーケティングについてはもちろん、特に、「これからのマーケティング」について、すごくわかりやすく書かれていました(全て、僕とはかなり遠い位置で仕事しているなとも感じましたが)。これは、ぜひ自分の備忘録として残しておきます。
恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。
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Overview
マーケティングが経営の重要な一角を占めるという認識が広がっています。宣伝部、マーケティング部だけでは企業のマーケティング全体を担えません。にもかかわらず、他部署と連携せず、遠慮や忖度で調整に終始してしまう。
この状況を整理できる人は残念ながら社長以外にいないんです。
Memo
- ドラッカー「企業の目的は顧客の創造にある」。今や、企業の存在価値は、マーケティングなくしては考えられない。
- メガネブランドのWarby Parketは実店舗ではあくまでデータ取得を目的としており、直接購入できない。あくまでネットでの購入がメイン。
- バーガーキングの「The Whopper Detour」というキャンペーンは、アプリをスマホにインストールした状態でマクドナルドに近づいてから、バーガーキングに引き返してくると通常5ドルのワッパーを1セントに値下げするという施策。ニューヨークタイムズが「1万4000件のマクドナルドの店舗をバーガーキングのレストランに変えた」と報じた。こういった施策は、宣伝部レベルではなく、経営判断による4Pの総力戦。
- 社長中心で、「マーケティング会議」をやりましょう。
- 社内に直感力、共有知見、データを貯める。
- 広告クリエイターはC(評価)を嫌うため、マーケティングはPDPDになりがち。
- 社長の本来の役割はリーダーシップを発揮することで、その分野がマーケティング領域である。
- 初めて消費者金融からお金を借りる人が上限まで借りると、他社からはもう借りることができない(法律上)。では、初めて消費者金融でお金を借りる人は何に最も影響があるか?それは、「看板の数」。←広告はさほど影響しない。
- 清涼自動販売機も、自販機の数では圧倒的に日本コカコーラで、2位がサントリー。缶コーヒーとかは自販機で買われることが多いので、自販機数で劣るメーカーがいくら広告で頑張っても追いつくのは無理。広告とは違うところで勝負が決していることもある。
- 広告による影響で購入に至る流れはあいかわらず、AIDMAがメインだけど、AISASも意識しなければならなくなってきた。そして、このモヤッとしたモデルにケリをつけたのが「ファネル」。「ファネル」は広告がやるべきことだけを整理したもの。
- 3つの「ファネル」がある。トップ・ファネルの役割はいかに広く認知してもらうか。TVCM。ミドル・ファネルは、「いかに自分にとって価値があると理解してもらうか」「自分事化」。主役はWEBCM。ボトム・ファネルの役割は「刈り取り」。主役はリスティングとリタゲバナー。この3つを設計するやり方をフルファネル化という。
- 3年ほど前は、WEBCMのの視聴質データに基づいてオファー付きリタゲバナーを露出するのが鉄板だった。
- 著者は、ミドル・ファネルから設計する。ターゲットのクラスターで分けるか、商品の差別性で分けるか。差別性(Unique Selling Proposition)は1つに絞る事がセオリーというのも変化しつつある。
- フルファネル化しなくても、ミドル・ファネルで、トップとボトムの役割をある程度担ってくれる。ミドル・ファネルは明らかに成果につながるのに施策されていないのは、ミドル・ファネルを扱う部署がないから。
- 事業を極力リスクなく成長させるための広告の鉄則は、CPAの低いところから獲っていくこと。商品あるいは、事業の成長とROIは基本的にはバーター関係にある。新しい顧客を見つけようとすると、どんどんコストがかかる。とたるCPAを見て、頭打ちになれば、今度は顧客のアクティブ化のステージに入る。
- クリエイティブにおいて、発注側と受注側が程よくぶつかり合うのが良い。受注側の「こうしたい」と、発注側の事情や狙い、曲げられないものがあって良いクリエイティブが生まれる。
- 18世紀ごろにGAFA以上の市場を独占していた風車を作る企業があった。しかし、産業革命で動力源が石炭・石油へ移行し、その会社はなくなった。その企業のアイデンティティを「風車を作る企業」ではなく、「農家に動力を提供する企業」と考えていたら、21世紀でも残ってたかもしれない。逆に、ルイヴィトンは、元々、木箱を作っていた。機関車が登場することで、ヴィトンは木を捨て、「トランク」を作った。自分の会社のアイデンティティを「木の性質を熟知した木箱メーカー」から「どんな交通機関でも便利・安全に荷物を運べるトランクメーカー」へと変更をした。自らのアイデンティティを動的に見直す作業がCI(Corporate Identity)作業。
- Missionは企業の存在理由。Visionは2〜3年後の達成する目標(定期的に見直し続ける事が重要)。ValuesはVisionを達成するための「独自の価値を持つ武器」である。今後の企業のプロジェクト化において、MVVの設定はますます重要になる。
- ブランドと顧客を結び付けるものは「Satisfaction」ではなく、「Effortless」であり、顧客満足度より、簡単で、努力させない事、イライラさせないことの方が相関性が高い。
- カスタマーサクセスとは、事業の成功のためには顧客の成功にコミットし続けなければならないという考え方。顧客も気付いていない課題を抽出することでLTVの最大化を目指す。
- カスタマーサクセス型のサブスクにおける4Pは、Productは「成功を売る」発想に。Placeは流通チャネルがいらなくなるケースがあり、Priceはパッケージがいらない分下がり、Promotionはターゲットインサイトをデータ分析し、クラスターごとの「成功」にコミットした内容になる。
- ジェフ・ベゾスは「狂っているレベルで、顧客にとってなくてはならない存在になる」ということを創業から考えていて、いち早く「カスタマーサクセス」という概念を取り入れた人。
- Sansanは日本で初めて「カスタマーサクセス部」を作って、顧客が何を求めているかを常に把握することを第一と考えた。
- これまでは戦略として、競合との優位性、差別性をどう作るかが最重要とされてきたが、疑わしくなってきた。競争というものを気にしないで、顧客がこう出てきたからこう出る、といったことを素早く動的に行うやり方が勝ち筋である。カスタマーサクセス思考。
- どんな商品・サービスにも光と影がある。広告の「光」の部分だけ見せるというやり方は、効きにくくなってきている。情報取得経路がマルチ化し、「影」の情報はネットに溢れていて、ターゲットは常に「影」に接しているという前提に立たなければならなくなった。
- カスタマーサクセスの思想なしで、サブスクは成立しない。従来の商品売り切り発想では、生活者に生じた価値は瞬時には固定されるが、サブスクの場合は価値が変化し続ける。
- あるチャットサービスでは、人からAIに途中で切り替わる。離脱率を下げると同時にテキストデータを全て集める事ができるため、カスタマーサクセスに寄与できる。
- 新しいテクノロジー×新しいビジネスモデル×新しいマーケティング思想の図式に収まり、今最も収益に繋がりそうな図式が、ターゲットインサイトをデータ化するテクノロジー×サブスクリプションモデル×カスタマーサクセス思想である。
- SDGsで企業に問われているのは、社会課題解決を収益につなげられるビジネスモデルを作る事ができるか。そして、SDGsは「優位性」ではなく、「参加資格」になりIR(Investor Relations)を通じた発信が大切になる。(SDGsをやらない企業の商品やサービスは利用されなくなる可能性がある。)
- ESG投資(環境・社会・ガバナンス)・・・これら3つをしっかりしている企業がこれからの投資対象だという共通指標。
- 社会性にフィットする商品を所持したり、シェアしたりするのが「イケてる」ことになる時代は近い。
- 創業者個人の思いに共感して買われる、成長するのも特徴的。日本でも、「ゆうこす」の化粧品ブランド「youange」、「こじはる」の「Her lip to」など、インフルエンサー型D2Cと呼ばれる。
- 日本も含め、世界的に「Belief Driven」と呼ばれる消費者が増大。社会課題に対する企業の姿勢でそこの商品を買うか買わないかを決める人たち。生活者が感じる価値が変わってきており、ミレニアル世代・Z世代にBelief Drivenの傾向が見られる。
まとめ
この本を読んで、まずは、知らないことが多すぎる自分に気付きました。それと同時に著者目線からの社会的動向から歴史的な背景まですごく楽しませていただきました。その中で、僕自身が考えたことをまとめます。
広告のクリエイティブディレクターのセンシティブな面
マス広告のクリエイティブディレクターともなれば、こういった感覚なのかなっていうのをいっぱい感じる事ができました。中でも、ビールのCMでうなぎの蒲焼を食べていたのを、ナスの煮浸しに変更したという内容。うなぎが絶滅に危機といったニュースがあったことから、それをきっかけに炎上するリスクを回避するためだったとか。アンテナの貼り方がすごいなーと感心しました。常に社会的な関心・トレンドを追っていないとそのアンテナは貼れません。
最近では、yahoo広告でコンプレックスを煽るような表現方法に規制をかけていくという事が発表されました。TVCM、WEBCM、WEB広告でもちろんそれぞれ、規制基準があるのでしょうけど、よりいっそう広告業界自身による自浄作用が求められていくような気がします。
カスタマーサクセスを意識し、体現すること
同じCSという表記でも、カスタマーサティスファクションではなく、カスタマーサクセスの大事さを説いています。自分としてもWebの事業を通じて、たくさんの顧客と触れ合います。そして、お話を聞いている中で思わぬ課題を発見することもあります。そして、それが次のビジネスの種になるといったケースや、アイデアをいただくこともあります。もちろん、昔から顧客満足度という言葉はあり、お客様は神様だという日本独自の表現もありますが、顧客を「サクセス」させるという意識まではまだまだ行ってない企業が多いように感じます。カスタマーサクセスのためのツールも進化し続けており、よりいっそう顧客理解への分析ツールには需要がありそうな気がします。(こういうようなサービスを開発する力があればなーと思う事が多々あります。。。)このカスタマーサクセス×サブスクリプションモデルというのがマーケティングのトレンドになりつつあるということを頭に叩き込みました!
ファネルという考え方
もちろん、この著者の顧客がすごく大手の会社ばかりなのもあり、話している内容はなかなか雲の領域に近いものを感じました。僕が担当するとしても、ファネルでいうところのボトム・ファネルによるリスティング広告によるランディングページの活用・リターゲティング広告の設定留まります。まさか、ミドル・ファネル、はたまたトップ・ファネルという考え方まであるなんて思いもしませんでした。確かに、商品・サービスをスケーリングしていくことを考えるのであれば(予算がたくさんある事が大前提)、フルファネル化という思想があるだろうなーと楽しく読ませていただきました。
バリバリ広告業界・クリイエイティブディレクターとして活躍している方の書籍ということもあって、内容にどんどん引き込まれました。内容的には、社長への提言(ここでいう社長は、中小よりは大企業よりの社長へ向けたもの)でしたが、あなたが社長でなくても、広告・マーケティングに興味があれば一読することをオススメさせていただきます。
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家入一真 『我が逃走』を読んで、すごく心が痛くなって苦しくなった。
『我が逃走』という本は、2015年に書かれた少し古い本だ。きっかけはこの記事。
(『ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り』もかなり色々と考えさせられた。)
家入一真さんといえば、都知事に出馬して僕は初めて知ったのだが、色々とネットを駆使した選挙活動をしており、変わった人だなーというのが印象でした。
(大丈夫か?この人って面もあったけど。)
Overview
ひきこもりから瞬く間に「IT長者」へ…ロングセラー『こんな僕でも社長になれた』を凌ぐ、その後の転落・逃亡・孤立を巡る物語。
堀江貴文さん、末井昭さん、の子さん熱く推薦の一冊!
Impressions
家入一真さんという人物は、ほんとに自分とは真逆で、「破天荒」って言葉がぴったりな人。
元々は、福岡でロリポップ(サーバー)を作り、20代の若さで会社を上場させる。
その後、カフェを運営し始め、9店舗ほど運営するが失敗。
そこから立ち直り、「BASE」といった気軽にネットショップを作れるサービスに立ち上げに関わったり、
CAMPFIREという今では当たり前になっているクラウドファウンディングを作る。
そして、東京都知事選にも出馬をしている。
僕がもっとも心痛く、もっとも苦しくもなったのは、カフェ運営を失敗してからのこと。
自分が後先考えずに雇った人を、どんどんと解雇しなければいけなくなったシーン。
雇ってきた人に解雇だという事実をを伝えるのが、社長(トップ)としての彼の役割である。
特に、4年以上付き合いのある秘書を解雇しなければならない。
人を雇うとか、解雇するって僕の中で本当に大きなことだけど(経験なんてもちろんない)、
完っっっ全に自分が原因で失敗して、逃げ場がない状況に、そのリアルに、すごく苦しくなった。
家入一真という人はそのリアルを受け止めれずにいた。
この本のタイトル通り、彼は、そのリアルから逃げまくる。逃走する。
なぜかすごく感情移入してしまった。
もちろん自分のことではないし、なぜここまで酷い経営状態となってしまったのかはこの本にも書かれている。
どう考えても、家入一真さん本人による要因が大きいだろう。
(カフェ運営の末期は、夜な夜な1日300万使う生活をしていたという・・・)
本の中の家入一真さんとシンクロするように、自然と僕も泣いてしまった。
すごく痛かった。
そこにある「リアル」から逃走する気持ちが痛いほどわかった。
けど、本当に逃げるからすごいなって。
色々なビジネスに関わる本はあるが、ここまでリアルな失敗を描いている本は読んだことなかった。
ここまですごく心が痛くなったのは初めてだった。
Summary
ここまで失敗して、この人がなぜ復活できたのか。
やっぱりそれは、家入一真というその人への「信用」でが大きいのではないかな。
CAMPFIREもBASEも、都知事選出馬も全て彼への「信用」があって、彼の元に人が集まっている。
たくさんの人をわざと裏切ったわけでなはないだろうけど、それ以上に、この人を「信用」をするがたくさんいるからだろう。
たぶん、すごく自分の感情に正直に生きている人であるし、その「正直」を貫けるポジションいる人なんだろう。
「家入ってああいう奴だよ」って。
反面教師にする部分もたくさんあったけど、僕が持っていないものをたくさん持った人だな。
僕も、十分、正直に生きている方だけど、もっと正直になって行ければ良いなと。
ああ、自分の感情を言語化するのは難しいですね。
三戸政和「資本家マインドセット」を読んでの備忘録
三戸政和さんという方を最近までは知らなかったのですが、けっこう有名な方みたいで著書を初めて読ませていただきました。下記、記事のシリーズも内容が衝撃的ですが、わかりやすく読みやすかったです。
知らなかったことが多く、面白い視点で解説されてる部分なども多く、今回備忘録として内容をまとめさせていただきました。
資本家マインドセット
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Overview
資本家とは、お金からも働くことからも自由な存在だ。サラリーマンと同じ労力で、数十倍どころか数百倍の結果を手にするのが資本家。理由は簡単。資本主義のこの世界では、ゲームは資本家にもっとも有利に働くルールになっているからだ。最短の時間で最大の成果を上げる。好きなことを好きな人と好きなようにやる。「資本家」という新しい生き方。
Memo
- 資本家とは、お金からも働くことからも自由な存在であること。好きなことを、好きな人と、好きなようにやる人。資本主義のこの世界では、資本家に最も有利に働くルールになっている。
- 自分の手腕によって会社の事業を成功させ、そこから利益を得るのが資本家。孫さんの時給は決して高くはない(会社からの配当収入が莫大なだけ)。
- 「仕組み化」とは、極力自分の時間を使わなくすること。ホリエモンがキックボクシングするのは、少ない時間で消費カロリーが高いから。「他人の時間」という「人的資本」を活用しながら、自分の人的資本を最大効率化させるべき。
- 日本で一番家賃の高いオフィスビルには、金融業者がたくさん入っている。
- 勝ちやすいビジネスの基本は、「初期コストがかからない」「在庫を持たない」「粗利率が高い」「定期的な収入がある」の4つ。投資ファンドほど効率のいいビジネスモデルはない。
- 専門性の高い3つのキャリアを作れば、100万人に1人の存在になれる。
- 今の日本では二代目や三代目の「後継者」がいないゆえに廃業する会社が多く、その会社を買って(個人M&A)育てることで資本家を目指そう。
- 生涯サラリーマン制度は滅びる。世界の潮流はプロフェッショナルによるプロジェクト形式。インターネットを通じて、ヒト、モノ、カネなどあらゆるものが繋がることができるようになり、組織を作らなくても、お互いのニーズに合わせて新しいサービスを展開できる。
- 「働き方改革」は経営者のための「雇い方改革」のカムフラージュ。企業にとって都合の良い雇用スタイルを実現するためのもの(残業なくそう、ワーク・ライフ・バランス、副業解禁など)。
- アイデアをいち早く実行フェーズに移せたからこそグーグルは勝った。最後に勝つのは、やり続けた0.01%。
- すでに年間3万社が廃業しており、その半分が黒字企業。
- 「トランビ」「バトンズ」といったWebサイトで会社の売買が可能。ただ、安い価格で買いたいなら信頼関係が必要。
- 小さな企業の業績改善は「え?そんなこともやってなかったのか」レベルの改革で成果が上がることも多い。
- 失敗しても支払い義務が生じるのは自分が出資した範囲だけ(有限責任)。
- 資本家は、株主業とは違い、そのビジネスに直接関与していく。
- 資本家は「お金と人に働いてもらう」「バランスシートで儲ける」「ポートフォリオを組む」。
- 仕組みがあれば社長は誰でも良い。同じ結果を出せるシステム作りが必要。
- 「バランスシートで儲ける」・・・例えば、高級ブランド店は赤字になっても、出店と同時にその周辺の土地も買い占める。出店を機に、周りの価値が上がり高値で土地を売却することができるから。
- 仕組みかした後に必要なのは、丸投げ力(人に任せられるメンタリティ)、60点でOKとする(小さな失敗を失敗と思わない)、オープンな情報共有。
- お金はどうやったら一番面白いか、効果的かという考えを持って大胆に使う。
まとめ
最近、B2C事業の閉店ラッシュや経営者の後継問題などニュースで取りざたされています。理由はもちろん、少子高齢化含め色々ありますが、今回の本で示されているた考え方は、その問題を逆手に取り、会社を買ってしまおうという趣旨のものです。仕事上、僕自身もたくさんの会社と関わるのですが、こういった後継者問題に悩んでいるところも少なくないです。「会社を買う」というのはあまり聞きなれませんが、今後この流れはもっと加速していきますし、全然関係ない第三者が会社を継ぐといったことは増えていくでしょう。
実際に、昨年、私も同業者の方にWebサイトの運営(リニューアルも含む)を、代わってくれないか(継いでくれないか)といった依頼を受けました。依頼者の方は、高齢で今まで自分が作ったサイトの運営を任せられる方を探しているということでした。Web業界といった新しい業界でも、こういう後継者問題というのは生じています。
「会社を買う」なんて考えていない方でも、資本家としてのマインドは知っておりても損はないのではないでしょうか?ぜひ、手に取ってみてください。
資本家マインドセット
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「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である」を読んでの備忘録
久々に面白い本に出会いました。著者である中島聡さんのことは全く知らなかったのですが、特に、Web業界で働く人にとっては、参考になる部分がたくさんありました。中島聡さんは、高校生の時からプログラミングに興味を持ち、どんどんスキルを伸ばし、当時のマイクロソフトで働きます!(その当時の話も具体的に書かれていて、それだけでもすごく読み価値があります。)そして実際に、windows95の設計思想に大きく関わります。
なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である
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Overview
今日も残業だ、仕事が終わらない、また先送りしてしまった、やりたいことが全然できない、もっと効率的な方法があるんじゃないか、そんなことで、日々悩んでいるみなさんに朗報です。この本は、「好きなことに思いっきり向き合う」ための時間術の本です。 著者が40年かけて実践してきた時間術を、一冊に凝縮。
もし今、時間に縛られて、人生を楽しめていない、と感じている方はぜひ、この本を最後まで読んでみてください。明日の朝起きたら、今までのあなたとはまったく違う新しい人生が始まります。
Memo
- 数学の問題で例えると、計算問題と応用問題のテストがある場合、仕事が終わらない人の特徴は「応用問題」の解く時間を甘く見積りすぎていると言う点。
- 「なるはや」と言う締め切りは止めるべき。なるはや病は潜在的な能力を引き出さずに抑圧する、悪い病気。
- ある病院は手術室を常に一つ空けておくようにしてから、受け入れることのできる手術数が約5%増えた。手術室のように、仕事においても「常に余裕」を持たせておくことが大事。
- なぜ、あなたの仕事は終わらないのか?
- ①安請け合いしてしまう
- ②ギリギリまでやらない
- ③計画の見積もりをしない
- まだ仕事の終わりが見えていないのに、質を高めようとするのは間違っている(windowsなどのOSもこのパターン)。また、どんなに頑張って100%のものを作っても、振り返ってみればそれは100%でないことが多い。
- プログラマーたちは、100点じゃなくてもいいので90点や80点のプログラムを必ず納期に提出することが求められる(全ての仕事はやり直しになるぐらいの覚悟がいる)。最速でいったん形にしてしまってから、余った時間でゆっくりと100点を目指して改良を続けるのが正しい。一番ダメなのは、納期ギリギリに「やっぱり間に合いそうにありません」ってこと。
- ビルゲイツの逸話。彼は、待ち合わせや締め切りに遅れた人がする言い訳をこの世で一番嫌ってた。いかなる理由があっても、仕事の納期に間に合わなければ、それは100%あなたの怠慢で責任を負うべきというもの。
- ロケットスタート時間術のメリット
- ①リスクを測定できる
- ②プロトタイプを素早く作ることができる
- ③誤差に対応できる
- まずは、ラストスパート志向を止めること。多くの人が、「最初はのんびりしていても、最後に頑張ればなんとかなる」という根本的な誤ちを改める。仕事が終わらなくなる原因の9割は、締め切り間際の「ラストスパート」が原因。
- ロケットスタート術とは。。。
- ・すべての仕事をスタートダッシュでこなして、絶対に終えられる納期を導き出す
- ・最初の2割の期間を「見積もり期間」としてもらい、実際には、仕事量の8割を終える
- ・最初の2割の期間で8割の仕事ができなかったら、期限を延ばしてもらう
- ・「仮眠を取る」と「マルチタスクをやめる」で、仕事の効率を上げる
- 時間に余裕がある時こそ全力疾走で仕事をして、締め切りが近づいたら流す。仕事期間の見積もりはやってみないとわからない部分があるから。
- 仕事は最速で終わらせてはいけない。(常に全力でやっているわけではないので。)
- ロケットスタート中は、その仕事のみに集中する(それ以外をしない、メールも返さない、徹夜も辞さない)。
- 朝仕事するのがなぜ良いのかというと、①外部要因の締め切りが設定できる、②メールチェックの必要性がない、③話しかけてくる人がいないから。
- 他人の仕事が遅れているのが原因で自分の仕事が遅れる場合は、「モックアップ」を作る。他人が仕事を終わらせないことと、あなたの仕事が進められないことは、厳密に考えると別の問題であることを認識する。
- 勉強のための勉強は意味がない。
- 集中力を無理に引き出さなければいけない仕事をそもそもするな。集中力は好きだからこそ自然に出てくるもの。「一度しかない人生を思いっきり楽しもう!」
- 仕事は「頼まれなくても自分から進んで喜んで残業するほど楽しい仕事か」どうかで選ぶべきかです。
まとめ
個人的に、今のネット業界を作ったともいえるビルゲイツと一緒に働いた中島さんだからこそわかる逸話が多く、楽しく読み進めることができました。MEMOで書いた以外にも、ビルゲイツが異常に意思決定が早かったり、異常に会議での効率化にこだわったていたりと、この本、本来の「仕事の効率化」とは別の部分だけでも読む価値があります。
また、この著者の中島さんのお話も凄すぎてちょっと思考が追いつかなかったです。(高校生の時からプログラムを書き、フリーのエンジニアとしてアスキーと仕事ををして1億を超えるロイヤリティを貰っていたり、windows95で右クリックの概念を作ったとか・・・)書かれていることはもちろん、IT系のことではありますが、それ以外の職種の人でも参考になる部分は必ずあるはずです。ぜひ、一度読んでみてください。
なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である
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『僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語』を読んだ備忘録
たまにブログを覗かせていただいている方の本を読ませていただき、いろいろ考えさせられたので備忘録。よくある成功ストーリーではなく、ありのままのリアルな脱サラ過程や、筆者の和田一郎さんの思考が伝わる一冊です。内容的にも、ネット販売事業をしている方であり、その分野でもいろいろな閃きをいただけた1冊でした。
Overview本の概要
よくある大物成功者である、スティーブジョブズやビルゲイツなどの話ではなく、すごく身近でリアルな起業で成功するまでの流れが書かれています。今まで、たくさんの起業本を読んでましたが、ここまでリアルに心情や起業過程が悪化れている本は、「謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦」以来の衝撃でした。
New Discovery新発見
ネットの普及で、起業者に求められる社交性は、必ずしも必要な特性ではなくなった。内向性であることは、時には強みにもなりうるということ。
「なんでもする」という気概が必要。道端なアクセサリーを並べて売れるか?小さなことから始めるということ。「地べたから商売を始める」
小さく始めよ、熱く語れ。お金でななく、ファンを増やせ。誰かが困っていることを解決して、幾らかの報酬をもらうことが大事。
成功するか失敗するかは50%。ただ、何回も挑戦することで確率論的には可能性は上がる。(7回挑戦できれば、99%。)そのためのも、開業資金は重要。理想は何回も挑戦できること。
ビジネスの核心は「売る」こと。起業すると「売る」以外のことに時間がかなり割かれるが、本質に一番時間をかけないといけない。
「会社を辞めたって、誰でも食べていくことはできるよ。頭のいい人は頭で、身体が頑強な人は身体で、どちらもない人は情に訴えて。」
いつの時代もバスは行ってしまったかのように思う。成功に続くバスはいつでも行ってしまったかのように思えるが、既に行ってしまったバスを嘆く必要はない。バスは次々に到着して、次々に出発している。問題はそのバスは、みんなに目見えるものなのか、一部の人にしか見えないものなのかの違いはあるが。
Summaryまとめ
筆者の和田一郎さんのブログはたまに拝見しており、今回初めて本を読ませていただきました。冒頭でも述べましたが、やはり「起業のリアル」が如実に描かれており、和田さんの焦りや販売物も見つけるための過程、市のアドバイザーの一言でm店舗契約を解消するなど詳細に描かれていました。
また、和田さんは着物をebayを通じて、売ることを始め成功します。それでも、市場の飽和の危機やライバルの出現などネット販売のリアルが描かれています。僕自身も今現在、ネットショップのコンサルタントを引き受けています。ネットショップの創世記の話がクライアント様との話とリンクしており、大変参考にさせていただきました。まさに、ネットショップの真髄は、「お金でななく、ファンを増やせ」だと思います。そのために、和田さんがebayでしてたことは、英語でブログ(商品的のことから、身内のことまで)書いたり、小さな手紙を同封したりと、今のWebマーケティングでは当たり前のことを当初から、感覚的に実践しているあたりさすがだなーと感じました(この辺は、奥さんがいたからこそのものかもしれませんが)。
この本を読んでいてわかるのは、協力者の必要性です。和田さんの本ではたくさん、奥様の言葉や、英語力での協力、子育てにおける負担減などかなりの成功のウエイトを占めていることが書かれています。奥様なしでは、かなり厳しい状況だったろうなということがわかります。そういう意味では、やはり一人でできることは限られているし、時にはライバルの存在が成功への鍵になることすらあるということを再認識させられました。非常に面白いのでオススメです。
僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語 (自分のビジネスを始めたい人に贈る二〇のエピソード)
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山田 英夫『成功企業に潜むビジネスモデルのルール』を読んでの備忘録
今回は『成功企業に潜むビジネスモデルのルール』を読んでの備忘録になります。
いろんな企業の見えない、ビジネスモデル(収益構造)を分析して、細かく掲載しています。
こういった本ってあまりなく、実際にある企業の隠れた収益構造また、その経緯など知ることができて楽しく読ませていただきました。
成功企業に潜むビジネスモデルのルール
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Overview
外部から見ると同じようなビジネスモデルなのに、なぜ儲かる会社と儲からない会社があるのか? 多くの成功企業のケースから、ビジネスモデルの競争力の秘密を解き明かし、その差を2つの視点から解説。
「見えにくいところに、ビジネスモデルのツボがある」――本書の冒頭に掲げられた一文に、本書のコンセプトが端的に表れています。
新しいビジネスモデルの企業が一時注目を集めても、あっという間に廃れてしまうことも珍しくありません。なぜ、そうなってしまうのか? それはそのビジネスモデルに、持続的優位性がなくなるからです。
新しいビジネスモデルが失速する最大の要因は、社内のコスト構造、レガシー企業の報復、同じビジネスモデルの乱立
ビジネスモデルを見る時、我々は外部から見えやすいところばかりに目がいきますが、実は見えにくいところに、成功している企業の優位性の秘密があるのでは? そう考えた著者は、ユニークなビジネスモデルを持つ企業を数多く取材し、その謎を解明したのが本書です。思わず他人に話したくなるようなビジネスモデルの事例が満載です。
著者は早稲田大学ビジネススクール教授でビジネスモデル研究の第一人者です。「ユニークなビジネスモデル」を見つけ出す目、その語り口に大変高い評価があり、本書でも期待通りの本領が発揮されています。
Memo
- 見えるところはすぐに同質化される。(真似される)
- セブン銀行のATMは、夜間の金庫事業の役割があった。その入金が紙幣調達コストも下げた。小銭なし、通帳なしもコスト引き下げに寄与した。後発機であることから簡単に海外のカードに対応できることができ、国外のユーザーのニーズに対応した。
- セブン銀行のATMも、金利変動の波とキャッシュレス化がリスク要因としてある。ATMが「資産」から「負債」になる恐れがある。
- 後発企業は大手企業がやれないこと行うのが競争戦略。
- 成田空港のコアコンピタンスは航空系ではなく、非航空系に移行している。「場所」と「待ち時間」そして近年の「インバウンド需要」が重なり、アウトレットモールを凌ぐ売上を上げている。
- エレベーター事業も保守料で売上を上げている。最近では、保守もIT化しつつある。
- スタディアプリはBtoCから、BtoBtoCへ移行した。学校が提供する1つのインフラとしての需要が大きくあった。だからこそ、月額980円でも成立する。
- リバイバルドラッグは、余過剰の医薬品を入札制で再活用するマッチングサイトを作っている。
- ランドスケイプは、企業の顧客情報を管理するデータベースシステムを作った。事業拡大に伴い、レッドオーシャンにハマるが競争しない「競争戦略」を採用。自社の強みに特化し、他のマーケティングオートメーション会社と協力関係を築いた。
- カーブスがというビジネスモデルが成功した要因は、ターゲットを「主婦」に絞ったこと、固定費が低いフランチャイジーしやすいビジネスモデル。主婦をターゲットにすることでブルーオーシャンを狙った。(他のジムと競合する戦略ではない。)
- ソニー不動産は両手取引しないというビジネスモデル。アメリカなどでは、両手取引は違法。また、「おうちダイレクト」という不動産を直接売買できるプラットフォームを作った。(サイト中立性を保つため、他社でも参加可能とした。)
- ライフネット生命は、営業職員によるプッシュ型のニードを喚起する人的プッシュではなく、ネット中心の営業職員を持たないことによるコストカットを目指したモデル。わかりにくい特約を廃止し、子育て世代をターゲットにした。
- 見えないビジネスモデルの優位性の内容としては、「コスト構造」と「競争構造」の2つがある。
- 「コスト構造」での優位性を得る方法としては、①やらない、②顧客にやってもらう、③既存のものと仕組みを変える、④固定費の変動費化、⑤サンクコスト(埋没費用)の回収などがある。例えば、①では、セブン銀行がBtoBをやらないであったり、カーブスが土日営業しないなどがある。②では、セブン銀行のATMの現金輸送コストは実は顧客が担っている。また、ウィキペディアなどは最たる例。③では、既存のフィットネスクラブではあるプールやシャワー等の水回り施設がない。④では、固定費の「教師への給料」を動画の再生回数などを基準にしたロイヤリティー制に変更した。⑤では、成田空港が関税検査後の場所を免税店化を進めることでサンクコストの収益化に成功した。
- 「競争構造」での優位性を得る方法としては、①レガシー企業の資産を負債にする、②バリューチェーンの中に入り込む(機能の代替)、③バリューチェーンの中に入り込む(機能の付加)、④同じビジネスモデルでも勝てる優位性を持っておく。
例えば、①スタディサプリは大手予備校にとっての資産である「校舎」を持たないことで、「校舎」を負債に変えた。②各銀行の無人ATM店舗を維持するコストが厳しくなった時に、セブン銀行のATMは各銀行のATMの機能を取り込む形でWIN-WINの関係を築いた。③リバイバルドラッグは、従来の卸経由でしか医薬品を調達できなかった薬局に対して、新たな医薬品調達ルートを提供した。 - 完璧なビジネスモデルはなく、環境・時代・ニーズによって柔軟に変えていくことが大事。業界タブーに触れないことが大事
Thoughts
今回の『成功企業に潜むビジネスモデルのルール』を自分の事業に置き換えて、
Web制作の業界で後発者としてなぜやっていけているかを少し具体的に考えてみました。
見えないビジネスモデルの優位性の内容としては、「コスト構造」と「競争構造」の2つがあるということでしたが、自分の事業は今までのWeb制作事業に比べて、斬新なビジネスモデルをしているわけではありません。
Web制作の料金
「コスト構造」において、まず一人で事業をしているという点で、大手のWeb制作会社さんと比べて人的コストが低いです。大手のWeb制作会社さんは、基本的に分業スタイルで、「営業」「デザイン」「コーディング」「エンジニア」など様々に職種が別れており分業して仕事をしています。それに比べると、フリーランスで一人でやることで人的コストは抑えることができ、大手のWeb制作会社より低コストで成果物を提供できます。
(最近はこの安さを求められてフリーランスを選択されることが多いのですが・・・)
また、3つのプランとして出来るだけ「わかりやすい料金」というのも1つの強みです。
対応スピード
「競争構造」において、全ての対応をスピーディーに行える点で優位性があります。
これは個人によるところが大きいですが、おそらくレスポンスの速さは会社さんに比べると早いです。また、土日も連絡を返すことが多いため、そういった優位性もあるります。
顧客との密接性
僕のビジネスモデルとして、一回きりの付き合いではなく、ずっと継続してサポートさせていただくということがあります。いわゆるサブスクリプションの構造は創業当初から採用しています。ですので、大手制作会社ではサポートが行き届かない細かい部分までサポートするという顧客との密接性、強みがあるのではないかと考えています。
上記はそれぞれ、僕個人だけがやっているというものではありませんし、斬新なビジネスモデルというわけではありませんが、この業界においてかなりの後発である自分がやっていけている要因であるのではないでしょうか。
Summary
今後の参考になるかはわかりませんが、知らないことが多くて、また見えないビジネスモデルを知れてとても楽しく読ませていただきました。このブログでは特に僕が気に入った部分だけ取り上げましたが、他の企業もたくさん紹介されてます。
また、事実だけではなく、この著者自身の分析などもすごく楽しく読ませていただきました。
何かやってみたい人はぜひ、『成功企業に潜むビジネスモデルのルール』を手にとってみてください。
成功企業に潜むビジネスモデルのルール
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